銀行口座・公共料金・各種契約の解約と名義変更
家族が亡くなった後の、銀行口座への連絡と相続手続きの確認、遺産分割前でも使える預貯金の払戻し制度、公共料金や携帯電話など各種契約の名義変更・解約、生命保険の請求、自動車の移転登録を案内します。
銀行口座と各種契約は、1か月以内を目安に、引き落としが続くものから順に整理します。銀行口座は相続手続きの対象になるため、金融機関への連絡が入口です。公共料金や携帯電話などの契約は、名義変更か解約かを各事業者に確認します。
この記事の要点
- 銀行口座は、金融機関に死亡の連絡をすると、相続手続きの対象になります
- 遺産分割の前でも、「相続開始時の預貯金残高×3分の1×法定相続分」の払戻しを受けられる制度があります(1つの金融機関につき150万円まで)
- 公共料金・携帯電話・インターネットなどの契約は、名義変更か解約を早めに確認します
- 自動車の移転登録は、所有者の変更があった日から15日以内が期限です
銀行口座への連絡
銀行口座は、金融機関に死亡の連絡をすると、相続手続きの対象になります(口座が凍結されると表現されることが多い手続きです)。遺産分割の協議がまとまるまでは、原則として、相続人全員の同意がなければ預貯金の引き出しはできません。
相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までの、連続した戸籍謄本などが一般的に必要です。戸籍の収集には時間がかかるため、早めに市区町村の窓口で取得を始めてください。 必要書類は金融機関によって異なるので、窓口で「相続手続きのご案内」を受け取り、書類一覧を確認します。
遺産分割前の払戻し制度
葬儀費用や当面の生活費が必要な場合は、遺産分割がまとまる前でも、一定額の払戻しを受けられる制度があります(2019年7月から始まった「預貯金の払戻し制度」)。
払戻しを受けられる額は、相続開始時の預貯金残高の3分の1に、払戻しを受ける方の法定相続分をかけた額までで、1つの金融機関につき150万円が上限です。金融機関の窓口で、他の相続人の同意がなくても、相続人が単独で請求できます。必要書類は金融機関で確認してください。
ほかの相続人と分け方を協議する前に、大きな金額を引き出すと、後で話し合いがこじれる原因になります。払戻しを受けた額は、遺産分割のときに調整されるものとして、記録を残しておいてください。
公共料金と各種契約の名義変更・解約
電気・ガス・水道、固定電話・携帯電話、インターネット回線、新聞、クレジットカードなど、契約の一覧を作り、名義変更か解約かを各事業者に確認します。名義変更をする場合は、新しい名義人の情報と、死亡が分かる書類(戸籍謄本のコピーなど)が求められることがあります。
- 口座振替の停止は、金融機関への連絡とあわせて行います。 解約したのに引き落としが続くことがあるため、通帳の記録をしばらく確認してください
- クレジットカードは、カード会社へ死亡の連絡をします。未払いの利用残高がある場合は、相続の対象になるため、相続全体の確認とあわせて進めます
- サブスクリプション型のサービスは、解約しない限り請求が続くものがあります。スマートフォンやパソコンの中の利用履歴から、契約の一覧を作ると整理しやすくなります
賃貸住宅にお住まいだった場合は、家主や管理会社へ連絡し、退去と名義の手続きを確認します。持ち家の場合は、相続登記とは別に、固定資産税の納税義務者の変更の届出が必要な自治体があります。お住まいの自治体の税務窓口で確認してください。
生命保険の死亡保険金の請求
生命保険に加入していた場合は、保険会社に連絡し、死亡保険金の請求手続きを始めます。請求に必要な書類は保険会社ごとに異なりますが、保険証券、死亡診断書のコピー、受取人の本人確認書類などが一般的に求められます。
保険証券が見当たらない場合は、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」で、亡くなった方の契約の有無を照会できる場合があります。保険金の請求権には、3年で消滅する時効の定めがあります。心当たりがある場合は、早めに照会してください。
死亡保険金は、受取人が指定されている場合は、その受取人が受け取るもので、相続財産とは分けて扱われます。ただし、相続税の計算では対象になる場合があり、500万円×法定相続人の数までの非課税の枠があります。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
自動車の移転登録
登録自動車は、所有者の変更があった日から15日以内に移転登録を申請することとされています。相続人が引き継いで乗り続ける場合も、運輸支局等で移転登録の手続きをします。軽自動車の場合は、軽自動車検査協会で手続きします。自動車保険(自賠責・任意保険)の名義変更や解約も、あわせて確認してください。
運転免許証は、警察署へ返納します。誰も使わない自動車は、廃車(抹消登録)の手続きも選択肢です。
注意したいこと
故人の預貯金や財産を、相続の手続きを経ずに安易に引き出したり処分したりすると、相続放棄ができなくなる場合があります(相続を受け入れたものと扱われるためです)。借金があるかどうかが分からないうちは、財産に手をつける前に、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。
よくある質問
口座が凍結されたら、葬儀費用はどうやって払いますか
遺産分割前の払戻し制度を使えば、金融機関の窓口で、葬儀費用などの当面必要なお金を一定額まで引き出せます。1つの金融機関につき150万円が上限で、必要な書類は金融機関で異なります。葬儀社の領収書など、費用の記録は大切に保管してください。
携帯電話の解約に、故人のスマートフォンが必要ですか
解約の手続き自体は、契約者の死亡が分かる書類などがあれば、窓口で行えます。スマートフォンの中のデータ(写真や連絡先)を取り出したい場合は、解約や初期化の前に、家族で相談して必要なデータの控えを取ってください。 暗証番号が分からない場合の取扱いは、事業者によって異なります。
故人の部屋の片付けは、誰に頼めばよいですか
住まいの片付けは、家族で行うほか、遺品整理の専門業者に依頼する方法もあります。費用や業者の選び方は、当サイトの「遺品整理の費用と業者の選び方」で案内しています。
出典
- 法務省「相続に関するルールが大きく変わります(預貯金の払戻し制度の創設)」https://www.moj.go.jp/content/001318284.pdf
- 全国銀行協会「亡くなった親の預貯金、すぐに引き出すことは可能ですか?」https://www.zenginkyo.or.jp/article/life/others/14668/
- 国土交通省「車を売買等により名義変更するためには」https://www.jidoushatouroku-portal.mlit.go.jp/jidousha/kensatoroku/transfer/index.html
最終確認:2026年11月